上級教材の録音が完了

ここ10年以上携わってきた聴解教材作りの大詰めです。中級、中上級、上級と3冊シリーズ最後の1冊「上級」の録音のために、先日丸1日都内の録音スタジオに缶詰になって、録音作業に立ち会いました。


録音作業を間近に見ていて、いつも感服するのは、録音技術者さんと声優さんのすばらしさです。


声優さんは、原稿を見て一気に読んでいきますが、途中で言い間違えたりすると、ちょっと間をおいて、すこし前のフレーズから続けて読んでいきます。技術者さんは、声優さんが何度言い直しても、メモをとりつつ、納得の部分を切り取っていきます。


また、「先ほどの方の「にじり口」のアクセントを聞き直したいんですけどいいですか」といえば、「はい、ちょっとおまちください」と、すぐに目的の場所をさがして再生してくれます。


声優さんは、ただ読むのではなくて、流れや意味を理解して読んでくださいます。たとえば、「ここの「それから」は、どんな意味でしょうか。」と聞かれ「時間経過ではなく、付け加えの方です」とこたえると、「はい、わかりました」とそのように読んでくださいます。 (実は、その時、「それから」というたった一言接続詞が、その発音を微妙に変えることで、独話の文章で、意味の違った「それから」を表現できるのだ、と気がつきました。勉強になりました)


録音が済むと、パイロット版の検証作業があり、印刷という運びになります。今まで大変な作業の繰り返しでしたが、やっとやっとの出版です。「上級」の聴解教材は、今年の夏に発売の予定です。今までの「中級」と「中上級」同様、日本語を学習する皆さんや、日本語を教える先生方の役に立てれば嬉しいです。